EOTRHのポニー【抜歯編】

EOTRH(Equine Odontoclastic Tooth Resorption and Hypercementosis)の唯一の治療法は抜歯することです。

抜歯をすることで痛みが消え、幸せな生活へ戻ることが出来ます。騎乗運動も以前のように可能です。

抜歯方法は、歯槽骨と歯の間の靭帯を切断して簡易的に抜歯する方法と、靭帯の他に歯肉・歯槽骨を剥がしてより

確実に抜歯する方法があります。今回は、ブログ前号のレントゲン像のように抜歯の途中で歯が折れる危険があるため

後者の抜歯法を選択しました。立位で鎮静剤、神経ブロック(眼窩下神経とおとがい神経)、局所浸潤麻酔にて行いました。


台形に歯肉を切り、骨ノミで剥がしていきます。そしてその下にある歯槽骨を叩いて割りながら上に進みます。

歯間側の靭帯を切断して隣の歯と分断し、必要であれば舌側の靭帯を切断すると抜歯できます。黄色の楕円で

囲んだ部分は、セメント質が過剰に増えている箇所です。歯の舌側に多いとのことです。今回は切歯7本、犬歯2本の

計9本抜歯しました。初めての作業のため、獣医3人がかりで6時間もかかってしまいました・・・


術後は20日間の抗生剤投与、5日間の鎮痛剤投与で、術日の夜から柔らかくした牧草を食べました。翌日以降も食欲旺盛で、目つきも変わり、明らかに活発になりました。